studioグッドカメラのPOOPLOGです。
キヤノンから満を持して発表されたフルサイズミラーレスカメラ「EOS R」。これでソニー、ニコン、キヤノンのフルサイズミラーレスが出揃い、ミラーレス時代が幕開けしました。
今から28年前、MicrosoftからWindows95が発売されて世界を騒がせました。当時は深夜にもかかわらず家電量販店に行列が並ぶというフィーバーぶりは今でも記憶に残っています。
キヤノンのEOS Rの発表は、28年前のそれに似ていて、この瞬間を一緒に立ち会いたいという気持ちが湧き上がります。しかしEOS 5D MarkⅣを所持している身としては、今回は見送るつもりなんおですが心が揺れますね。
EOS 5D MarkⅣからEOS Rに買い替える、もしくは買い足すに十分な理由があるか整理してみました。
基本スペックの比較
EOS R | EOS 5D Mark Ⅳ | |
---|---|---|
有効画素数 | 約3030万画素 | 約3040万画素 |
センサー形式 | デュアルピクセルCMOS | デュアルピクセルCMOS |
ボディ内手ぶれ補正 | 無 | 無 |
レンズマウント | RFマウント | EFマウント |
使用レンズ | RFレンズ群、およびEFレンズ群 | EFレンズ群 |
マウントアダプター併用により、 EF/EF-Sレンズが使用可能 (EF-Mレンズ使用不可) |
EF-S、EF-Mレンズを除く |
EOS Rにはボディ内手ぶれ補正がない【Bad】
EOS Rにはボディ内手ぶれ補正が付いていません。EOS 5D MarkⅣ などの従来の一眼レフ同様の手ぶれ補正です。
ボディ内手ぶれ補正の場合、角度ぶれやシフトぶれに加えて回転ぶれも補正できるます。シャッターボタンを押すときに右側だけ下がって発生する手ぶれにも対応できます。手持ちでのマクロ撮影などシビアな操作が必要とするときに活躍します。
手ぶれについて下記のサイトが参考になります。
参考 手ブレの種類と違い(角度ブレ、シフトブレ、回転ブレ)フォトスク
EOS Rは新マウント
EOS Rは、これまでのEFマウントではなく新マウントである「RFマウント」を採用しました。
EFマウントをせっせと購入してきた身としては、正直、新マウントへの移行は微妙な気持ちです。でもさすがはキヤノンです。EF、EF-Sレンズに対応したマウントアダプターを同時に発表しました。既存のユーザーのマウント替えを防ぐ最高の対応です。
公式サイトによると、マウントアダプターを利用してもEFレンズの手ぶれ補正やオートフォーカスへの影響はないようです。
オートフォーカスや手ブレ補正機構、カメラの電子ダイヤルによる制御、光学補正などレンズの持つ機能をほぼそのまま使用することができます。
RFマウントはマウント接続部の電子接点が12点に進化しました(EFレンズは8点)。そのためレンズからカメラへの通信速度の大幅に向上したことによって、フォーカス、ズーム、絞り、手ブレ補正、レンズの諸収差などの情報を、瞬時にカメラ側へ伝達できるようになり高度が光学補正が可能となります。
代表取締役社長 COOの真栄田雅也氏によると、RFマウントは「今まで作れなかったレンズが作れる」とのことです。その象徴としてズーム全域でF2という明るさを実現した「RF28-70mm F2 L USM」があります。
お値段も42万円(税別)で「今まで作れなかったレンズ」価格になっていますね…
画像記録関係の比較
EOS R | EOS 5D Mark Ⅳ | |
---|---|---|
記録媒体 | SD/SDHC/SDXC UHS-II、UHS-Iカード対応 |
SD/SDHC/SDXC |
CFカード タイプI準拠、UDMAモード7対応 |
||
メディアスロット | 1 | 2 |
画像タイプ | JPEG、RAW(CR3) | JPEG、RAW |
記録画素数 | L:約3010万画素 | L:約3010万画素 |
M:約1330万画素 | M:約1330万画素 | |
S1:約750万画素 | S1:約750万画素 | |
S2:約380万画素 | S2:約250万画素 | |
S3:約35万画素 | ||
RAW:約3010万画素 | RAW:約3010万画素 | |
C-RAW :約3010万画素 | ||
M-RAW:約1690万画素 | ||
S-RAW:約750万画素 | ||
DPRAW設定 | 可能 | 可能 |
メディアスロットはEOS 5D MarkⅣに軍配
これまでのキャノンの傾向から、EOS Rの価格的には2スロットになってもおかしくなかったはずなのですが、残念ながら1スロットでした。ハイアマ、プロの写真家には信頼性という意味で2スロットでなければならないようです。
その点、プロやハイアマ御用達の5D MarkⅣは2スロットです。信頼性といった高レベルの要求に対しては成熟しているEOS 5D Mark4に軍配があがります。
C-RAWでファイルサイズ減
後ほど紹介しますが、EOS Rには最新の画像エンジン「DIGIC 8」を採用しています。
デジカメinfoさんの記事によると…
キヤノン初のCR3のRAWフォーマットで保存可能になった。従来のキヤノン機はCR2を使用しており、ロスレス圧縮か、または解像度の低い「M」か「S」の形式で保存することができる。M50 のC-RAWは、解像度はそのままでロスレス圧縮よりもファイルサイズが30%から40%小さくなる
画像に影響がないなら、ファイルサイズの縮小を図れる新フォーマット「CR3」は大歓迎ですね。
ファイルサイズが小さくなれば、写真のバックアップ先にしているストレージの容量も抑えられるのでありがたいです。
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露出制御関係の比較
EOS R | EOS 5D Mark Ⅳ | |
---|---|---|
画像エンジン | DIGIC 8 | DIGIC 6+ |
測光方式 | 384分割 | 252分割 |
評価測光 | 評価測光 | |
部分測光(中央部 約6.1%) | 部分測光(中央部 約6.1%) | |
スポット測光(中央部 約2.7%) | スポット測光(中央部 約1.3%) | |
中央部重点平均測光 | 中央部重点平均測光 | |
測光範囲 | EV-3~20 | EV 0~20 |
ISO感度 | 100-40000 | 100~32000 |
フリッカー低減 | 可能 | 可能 |
撮影モード | シーンインテリジェントオート | シーンインテリジェントオート |
フレキシブルAE | ||
プログラムAE | プログラムAE | |
シャッター優先AE | シャッター優先AE | |
絞り優先AE | 絞り優先AE | |
マニュアル露出 | マニュアル露出 | |
バルブ | バルブ | |
カスタム撮影モード(C1/C2/C3) | カスタム撮影モード(C1/C2/C3) |
画像エンジンが2世代違う
EOS 5D MarkⅣ の「DIGIC 6+」に対して、EOS Rは二世代先の「DIGIC 8」です。
この二世代の差は常用ISO感度に顕著にあらわれています。EOS Rでは高画素ながら常用ISO感度40000ですが、一方のEOS 5D MarkⅣは、常用ISO感度32000までです。手持ち撮影の可能性が広がります。
キャノン公式にあるサンプル写真です。
大きな画像は下記よりご覧ください。
参考 キヤノン:EOS R | 高画質キヤノン:EOS R | 高画質
新撮影モード「フレキシブルAE」
EOS Rには新撮影モード「フレキシブルAE」が追加されました。
このモードでは、プログラムAEの状態から、シャッタースピード、絞り、ISO感度の数値を個別に変更できます。フレキシブルAEから切り替えずに、P/Tv/Av/Mモードへ移行が可能です。
マニュアルモードで撮影している人には面白い機能なのかも知れません。これからマニュアルモードで撮影してようとしている人には、このモードを足がかりに取り組めそうですね。
オートフォーカス性能の比較
カメラ | EOS R | EOS 5D Mark Ⅳ |
---|---|---|
フォーカス方式 | デュアルピクセル CMOS AF方式 | デュアルピクセル CMOS AF方式 |
フォーカス動作 | ワンショットAF | ワンショットAF |
AIサーボAF | AIサーボAF | |
AIフォーカスAF | ||
測距点 | 最大5655点 | 最大61点 |
測距点 自動選択時 | 最大143点 | 最大61点 |
測距輝度範囲 ファインダー | EV-6~18(F1.2レンズ) | EV -3~18(F2.8レンズ) |
測距輝度範囲 ライブビュー | EV-4~18(F1.2レンズ) | EV -4~18(F2.8レンズ) |
測距エリア選択モード ファインダー |
顔+追尾優先AF | |
スポット1点AF | ||
1点AF | 1点AF | |
領域拡大AF(上下左右) | 領域拡大AF(上下左右) | |
領域拡大AF(周囲) | 領域拡大AF(周囲) | |
ゾーンAF | ゾーンAF | |
ラージゾーンAF | ラージゾーンAF | |
瞳AF | 可能 | - |
EOS Rの測距点は5655点
EOS Rの発表で目立ったのが測距点です。最大5655点というのは全メーカー含めて桁違いの数値になっています。ピント合わせをシビアに追い込めそうですね。一点だけ注意点があってオートフォーカスのときは143分割になります。
驚くのは測距点の数だけでなく、AFエリアの広さです。
ちなみにEOS 5D Mark4のAFエリアです。一目瞭然ですね。
ファインダー使用時の測距輝度範囲
EOS Rは「世界初 AF低輝度合焦限界 EV-6」を実現と強くアピールされていましたが、これスペック表をよくよく見てみるとF1.2のレンズを使用したときの数値でした。
それでも世界初に間違いはないのですが、あまり期待しすぎてはいけないですね。
EOS R のリーク情報の段階では瞳AFはつかないとことだったが、実際は搭載されていた。
-6EVの低照度AF は肉眼でみえない暗闇でAFが効くらしい。蛍撮影がお手軽になる?
— popolog (@popolog800) 2018年9月5日
瞳AFを搭載
事前リーク情報では瞳AFはないという話でしたが、フタをあけてみればしっかりと実装してありました。
シャッター速度と連続撮影性能の比較
EOS R | EOS 5D Mark Ⅳ | |
---|---|---|
シャッター速度 | 1/8000~30秒 | 1/8000~30秒 |
フラッシュ同調速度 | 1/200 | 1/200 |
連続撮影 ワンショットAF | 最高約8.0コマ/秒 | 最高約7.0コマ/秒 |
連続撮影 サーボAF | 最高約5.0コマ/秒 | 最高約7.0コマ/秒 |
連続撮影可能枚数 | JPEG:約100枚 | JPEG:Card Full |
RAW:約47枚 | RAW:約21枚 | |
RAW+JPEGラージ/ファイン:約39枚 | RAW+JPEGラージ/ファイン:約16枚 | |
UHS-II | CFカード |
連続撮影 サーボAFの連続撮影【Bad】
サーボAFのときの連続撮影が最高で5コマ/秒というのが気になりました。この性能はEOS Kiss X9と同等です。
ミラーレスは連写に強いイメージを持っていたのですが、ソニーに限ったことなのでしょうか。少しガッカリポイントです。
モニターの比較
EOS R | EOS 5D Mark Ⅳ | |
---|---|---|
形式 | TFT式カラー液晶モニター | TFT式カラー液晶モニター |
画面サイズ | 3.15型(3:2) | ワイド3.2型(3:2) |
解像度 | 210万ドット | 162万ドット |
稼働方式 | バリアングル | - |
タッチパネル | 静電容量方式 | 静電容量方式 |
解像度
モニターが大切なミラーレスだけあって、EOS 5D MarkⅣに比べて解像度が大幅にアップしています。カメラサイズが小さいこともあって画面サイズは少し小さくなっていますが気にする範囲ではないです。
EOS Rのモニターはバリアングルで可動式
以前、キヤノンの製品モニターに当選して、Kiss M6を使う機会がありました。この機種のモニターも可動式でチルト式でした。コスモスをを地面すれすれから狙うときに大活躍していくれました。
EOS Rも可動式モニターでバリアングル式です。個人的にはチルト式よりバリアングル式のほうが丈夫そうで好きです。
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カメラのサイズ感を比較
カメラ | EOS R | EOS 5D Mark Ⅳ |
---|---|---|
マウント径 | 54mm | 54mm |
フランジバック | 22mm | 44mm |
幅 | 135.8mm | 150.7mm |
高さ | 98.3mm | 116.4mm |
奥行き | 84.4mm | 75.9mm |
質量 | 660g | 890g |
EOS Rはミラーレスカメラの特徴どおりコンパクトさを実現
EOS 5D MarkⅣなどのEFマウントではフランジバックは44mmでした。EOS RのRFマウントでは20mmとなったことでミラーレスのメリットの一つであるコンパクトさを実現しました。
ちょっと気になるのが奥行きです。スペック表を見る限りではEOS 5D MarkⅣより1cmくらい大きいのだが何でだろう…?ファインダー込みのサイズになってんのかな??
EOS RとEOS 5D MarkⅣを比べると、幅、高さは1.5cm前後小さくなっているので持ったときに感覚が全然違うはずです。小さければ良いというものではないですが、1日撮影して持ち歩くことを想定するとコンパクトかつ軽いというのは大事です。
以前記事にしましたが、三脚も最終的にはコンパクトさを重視する結果となった経緯もあるのでカメラにおいても重視したいです。
EOS Rのピント位置の調整が秀逸!
EOS Rにはマルチコントローラーがないのでピント位置の調整が面倒そうだと思っていたのですが、さすがはキヤノンでした。
マルチコントローラーとは下図の9番のボタンです。これをグリグリッとしてピント位置を自由に調整できます。このボタンがあるのとないのでは操作性に大きな違いがあります。EOS 80Dは大きさもコンパクトで素晴らしい機種だったのですがマルチコントローラーがなくて残念でした、
EOS Rはマルチコントローラーの代わりに液晶画面を使用するみたいです。
これめっちゃ便利そうです。ここでも測距点は5655点が大活躍してくれそうです。この機能だけでも欲しくなります。
EOS R のターゲットは中級機を所持しているユーザー
ここまでEOS RとEOS 5D MarkⅣを比較してきて感じたのが、「EOS 5D MarkⅣに似ているぞ」ということです。
案の定、キヤノンの開発キーマンのインタービューで下記の発言がありました。
――EOS R、位置づけ的にはEOS 5Dクラスのカメラになるのでしょうか。
清田氏:そうだと考えています。
EOS Rは最新の画像エンジンに「DIGIC 8」を搭載しているので、画質面ではEOS 5D MarkⅣを超えているそうです。
――EFマウントの一眼レフとRFマウントのミラーレスで画質の違いはありますか?
清田氏:総合的な画質は、基本的にEOS Rのほうが上回ると思います。一番の違いを生み出しているのがデジタルレンズオプティマイザで、レンズから来る情報をリアルタイムで処理できるようになりました。
参考 ボディ内手ぶれ補正の搭載も検討、キヤノンに聞くEOS R開発秘話 (1) EOS R開発のキーマンが開発秘話を語る | マイナビニュースマイナビニュース
結論:EOS Rに買い替える価値はある、しかしやっぱり静観
EOS R は EOS 5D MarkⅣクラスなのに価格がおよそ26万円、これってかなりの値頃感です。
5D MarkⅣを持っていなければ飛びついていたと思います。
しかし今回は静観します。
EOS Rは キャノンにとってフルサイズのミラーレス初号機ですので、さすがのキヤノンも100%のミラーレスではないはずです。使い始めてみるとまだまだ成熟していない部分がでてくると思っています。
「ボディ内手ぶれ補正が無い」というのもその一つです。
そういった理由もあって、先日「静観しようというツイート」をしました。
Twitter見てると EOS R の評判が良いですね。レフ機の 5D Mark4 と価格差がほぼない。悩んでしまう人いるだろうなぁ。
5D Mark4 持っているので、EOS Rはしばらく静観します。
ってのは建前で金銭的な問題でございます。— popolog (@popolog800) 2018年9月5日
金銭的な問題は実際にあるのですが、「5Dクラスのカメラを買うのにギャンブルはしたくないな」っというのが本音です。
数値上の性能はEOS 5D MarkⅣに比べてEOS Rが上回っていますが、それは純粋に比較した結果です。何か言いたいのかというと、 EOS 5D MarkⅣの性能に不満を感じたことはありません。まだまだ使いこなせていないと思っているくらいです。
そのため今回はとりあえず様子見てからでも遅くないと結論を出しました。
それにEOS 5D MarkⅣは発売から2年くらいで20万近く下がっています。EOS Rも1年くらい経って落ち着いた頃には20万を切っているのではないでしょうか。
正直、ミラーレスカメラを持っていないので「欲しい」という気持ちはありますが、その反面ミラーレスに対してネガティブな考えを持っている部分も持っています。
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ミラーレス一眼が欲しいけど買わない理由
ミラーレス一眼、欲しいんだけど、なかなか購入に踏み切れません。 最近のネット界隈では、富士フイルムだの、ソニーだの、ミラ ...
そういった背景もあってミラーレス時代の幕開けの最初の波にに乗れない自分にもどかしさを感じているので、今回の「静観」の選択は辛いです。
初めてのフルサイズ機を探しているならEOS R しかないしょ!
繰り返しになりますが、5D MarkⅣを持っていなければ飛びついています。
今後もEFマウントの開発を進めるような話を見かけましたが、EOS Rと同時に発売されるマウントアダプターの充実させておりEFマウントユーザーの取込が万全の状態です。いずれにせよ最終的にRFマウントに終息していくはずです。
もし僕がAPS-Cからフルサイズにステップアップするために機種を探している状況であれば、RFマウントを採用したEOS Rを購入します!
おしまい。